【レビュー】QuietAir Pro 4は「静寂」ではない。

デジタルホラー

カテゴリ:ガジェット / イヤホン 投稿者:yk_digital 投稿日:202X年 11月 4

1. 導入:求めていた「無音」

待ちに待った「QuietAir Pro 4」(以下、QAP4)が届いた。 結論から言おう。これは革命だ。

私はフリーのライターだが、極度のHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)気質で、日常の「音」に常に悩まされてきた。 上の階の足音、近所の工事音、カフェでの隣席のタイピング音、エアコンの室外機の低い唸り。

QAP4は、それら全てを「消去」した。 装着し、ノイズキャンセリング(NC)をオンにした瞬間、世界から音が引き算される感覚。まるで分厚い雪の中に頭を埋めたような、絶対的な静寂だ。

特に「レベル10(最大)」に設定した時の遮音性は凄まじい。 カフェで試したが、目の前で店員がカップを置く「カチャン」という音すら、遠くで綿を叩いたような鈍い響きになる。これでようやく、私は原稿に集中できる。

…と、ここまでは一般的なレビューだ。 もしあなたがQAP4の購入を検討しているなら、ここから先は、私が体験した「特殊なバグ」についての記録として読んでほしい。

2. 違和感:踏切の「ノイズ」

使い始めて三日目。 気分転換のため、夜の散歩に出た時のことだ。 自宅近くにある、小さな踏切を通りかかった。この時間、電車はもう来ない。遮断機は上がったままだ。

私はいつものようにQAP4を装着し、NCを最大(レベル10)に設定していた。 風の音、遠くを走る車の音、虫の声がフッと消える。 完全な静寂。

その、静寂の中で、微かな「音」がした。 いや、音ではない。NCが無理やり消そうとしている「何か」の残響のような、耳の奥で鳴る不快な周波数。

キーン、でもない。 「ジジジ…」という電子ノイズに近いが、もっと不規則で、湿っている。

私は最初、QAP4の初期不良か、あるいは近くの電線か何かの高周波を拾っているのだと思った。 だが、おかしい。 その音は、踏切から一歩離れると消えるのだ。 そして、その踏切の、特定の地点(線路脇の古い石碑の前)に立つと、必ずその「ノイズ」が聞こえる。

3. 解析:サウンドの「視覚化」

気味が悪くなり、私はQAP4の専用アプリを起動した。 最新のアップデート(Ver 1.5.0)で、聴覚補助機能として「周辺サウンドの視覚化」が追加されている。 NCが拾った音をAIが解析し、「犬の鳴き声」「サイレン」「会話」のようにスマホ画面にテキスト表示する機能だ。

私は、再びあの石碑の前に立った。 NCを最大にする。 例の「ジジジ…」という音が耳の奥で鳴る。

アプリを起動し、「周辺サウンドの視覚化」をオンにした。

スマホの画面には、当然「風の音(弱)」や、遠くの「自動車(走行音)」などが断続的に表示される。 だが、それらとは別に。 静かなはずのその場所で、アプリは依然として「未知の音」を拾い続けていた。

画面には、こう表示されていた。

[不明瞭な音声(低)]

(音声…? 誰が?) あたりを見回すが、誰もいない。時刻は深夜1時。 私は、その「音声」が何を言っているのか気になった。好奇心が、恐怖に勝ってしまった。

さらに設定をいじり、「音声認識(ベータ版)」をオンにした。 これは、「不明瞭な音声」をAIが補完し、強制的に文字起こしする機能だ。

耳には「ジジジ…」という不快なノイズしか聞こえない。 だが、スマホの画面は、その「ノイズ」を健気に「文字」に変換しようと試みている。

画面に、ゆっくりと文字が浮かび上がった。

……あ……ない…… ……だ……て……

文字化けか、あるいは遠くの会話を誤認識しているのか。 私がスマホの画面を凝視していると、 不意に、ノイズの質が変わった。

「ジジジ…」から、「ゴソッ」という湿った音に。 そして、画面の文字が、はっきりと更新された。

いま どこに いる

背筋が凍った。 慌ててイヤホンを耳から引き抜く。 静かな夜の踏切。虫の声だけが聞こえる。

(見間違いだ) そう思い込もうとした。 だが、その日から、私のQAP4は、どこにいてもあの「音声」を拾うようになってしまった。

最初は踏切だけだった。 次は、自宅アパートのエレベーターの中。 そして今、このレビューを書いている、自室のデスク。

NCをオンにするたびに、アプリが反応する。

いま どこにいる

ちかづいて いる

なんで おまえには わかる

4. 最後の記録

投稿日:202X年 11月 8日(最終更新)

この記事を公開すべきか迷った。 だが、もし同じ現象に悩んでいる人がいたら、警告したい。

このイヤホンは、「ノイズ」を消しているだけではない。 我々が「ノイズ」として処理し、無視してきた『何か』と、こちらの世界の境界を、曖 … (ここで文章は途切れている)

(追記) 今、NCをオンにしている。 耳には何も聞こえない。完全な静寂だ。

だが、スマホの画面は、今も「音声」を認識し続けている。 さっきから、同じ言葉を。

みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた


このレビュー記事は、11月8日の「みつけた」という羅列を最後に更新が途絶えました。 投稿者「yk_digital」のアカウントも、その日を境に一切の活動を停止しています。

後日、QAP4のメーカーはアップデート(Ver 1.5.2)を配布。 リリースノートには、こうありました。 「特定の環境下において、環境音が『不明瞭な音声』として誤認識される重大なバグを修正しました」

…奇妙なことに、あの踏切の脇にあった古い石碑。 あれは、かつてその踏切で起こった事故の慰霊碑だったそうですが、メーカーがアップデートを配布したのとほぼ同時期に、何故か、真新しいものに交換されたということです。

記録者:硯 幽花

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